雑誌ができるまで #21 リソグラフを印刷する
vol.59 | 2023年3月13日
vol.59 | 2023年3月13日
NCの大きな特徴であるリソグラフ印刷。制作のハイライトとも言えるこの苦行がスタートするわけです。全部で11折(×16P=176P)がリソグラフで刷る枚数です。机上では1週間2折刷り続けても30日かかる計算です……。「刷れば終わる」とは、尊敬するアートディレクターの言葉。さて、まあ始めてみましょうか。
加藤:入稿を終えていよいよリソグラフの印刷に入ります。4号はリソのみが4折(1折=16P)、オフ4色&リソが4折、オフ2色&リソが3折。4号でこれまでと印刷方法が変わった点はある?
加納:リソを2回刷りするのは新しい試みのひとつですね。これまではオフ2色とリソ2色(リソグラフの機械にセットできる色数は最大2種)で擬似4色をつくってきたけど、リソを2回通すことで、片面ずつ違う組み合わせのインクを使うことができます。
加藤:たとえばオフセットの黄色と黒を刷り出したうえに、赤青のリソを刷りたいとき、見開き両方に赤青が合えば1回でいいけど、片面ずつ色を変えたい場合は、赤青で片面分を刷ったあとに違う色のリソのインクをセットして、もう片面を刷る必要がある。
加納:単純に作業が倍になるということですね。このページの場合、本当は赤青かピンクアクアかに揃えようとしたのですが、どちらも試してみたら微妙で。片面は赤青がいいし、もう片面はピンクアクアがいいとなってしまったんです。そのため、オフ2色&リソ2色を同じ折で2パターン(リソの色違い)で刷ることにしました。4号でこれが時間的にも技術的にも実現できれば、原理的には1ページに6色を重ねられるようになります。
加藤:禁断の果実だね。色はいいけど作業が終わらない。でも出したい。どうしよう……って感じで。今ちょうど2回刷りのページをやっていて、5000枚の見開き(2P)を刷るのに大体2時間くらいかかった。1日8時間(8P)やるとして、単純計算でリソページは30日くらいかかる。
加納:理想としては1週間で2折を終えること。先週は5日間で2折終わったけれど、今週は2度刷りがあるから間に合うか……。
加藤:荻窪で刷っていたときに比べて、横浜に移ってからの印刷でリソの機械に紙が引っかかることもないし、体感としてはスムーズに感じる。5階という環境も紙にとってはいいのかな。
加納:紙がひっかからなくなったのは、ある程度固定の紙が決まってきたからかもしれません。それぞれの特性をもとにインクの乗り具合がある程度わかるようになったので、スムーズに感じるのかと。いま紙を変えるとしてもマイナーチェンジみたいなものしかないから、大体いつも通りで特殊な紙はつかってないです。環境面では、荻窪の工房は1階でドアをあけてすぐの部屋で紙を管理していたので湿気や風の影響を受けたけれど、いまは5階で外気の影響を受けづらいですね。
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